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新聞日記

新聞から世界を考えてみる

原油価格

先日のOPECで、サウジアラビアが主導する形で、原油の減産が見送られた。日本や欧州の景気が停滞していることで、生産工場の中国をはじめとして世界でのエネルギー需要が減っていることを受けて、原油価格は下がっている。

今までの流れであれば、産油国は減産をして原油価格を維持するハズ。しかし原油価格の高止まりは、アメリカやカナダのシェールガス開発という新たなエネルギーライバルを生みだしのである。

化石燃料は、いずれは枯渇する。そして温暖化効果を加速させるとして、それに代わる新エネルギーが待望されていた。そこに登場したのが「原子力」。夢のエネルギーとされていた時代もあった。

しかし放射能の危険が次第に分かりはじめ、また事故も起きた。私たちにとっては、広島・長崎の原爆被害と福島の原発事故の印象が強い。このまま原子力に頼っていいのだろうか?と。

この流れの中で、産油国は再びチャンスを握り返した。化石燃料に代わるような「新エネルギー」は、まだ力不足。当分は、原油はエネルギーの主力のままである。

新エネルギーが実用化段階になるまでには、さらなる投資が必要とされている。つまり人材と技術、そして時間と資金の投入である。原油高だからこそ、そういう資源が新しい分野に流れていった。シェール燃料だけでなく、太陽光や風力発電の可能性の発展に向けて。

エネルギーを輸入に頼る日本としては、原油安は歓迎するべきことなのかもしれない。もちろん最近の円安で、どこまで還元できるかは分からないけれど。しかし、エネルギーが安くなったことで、省エネへの取り組みが弱まってしまうのではないだろうか。トヨタは、「プリウス」がアメリカで不調だと言う。省エネの魅力が、原油高で薄れてしまったのだろう。

また産油国すべてが、この原油安を歓迎している訳ではないようだ。サウジアラビアのような、体力のある国は、原油安になったところでダメージは、ライバルを牽制するカードにすぎないのかもしれない。しかし原油で稼いだ資金を、経済発展に結び付けようとするロシアなどでは、この影響は深刻だ。エネルギー産業だけではなく、国内のすべての産業への投資に波及していくから。

OPECの牽制カードは、シェールオイル・ガスにとどまらず、メタンハイドレート、太陽光や風力・地熱、そして水素エネルギー(燃料電池自動車など)への開発にも影響してしまうことを考えていくと、つくづく、さまざまなことがつながっているのだなって思っうのであります。